【第2話】ニャン子との出会い
ザムザは荒れ果てた獣道を、猛る肢体を駆使して進んでいった。ザムザは結構ポジティブな人間で、こんな状況においてなお、「まぁなんとかなるだろう」と高を括っていた。
ザムザの体力がなくなり始めたのは40分程経過してからで、空はさらに明るくなりつつあった。
狩猟を行っていた1人の少女が、森の中を歩くザムザのことを発見した。
そのときザムザが全裸であったために、少女はその気がかりな青年に対し、声をかけに行くことができなかった。
どういう訳か、少女の頭の中にはとある昔話が駆け巡っていた。
少女は猫の青年をしばらく追跡することにした。
しばらくしてザムザは、自分の体力が底をついてきたことを確信し、腰くらいもある大きな岩に腰掛けようとした。
「ニャッ!!ダメッ!!!」
その瞬間、すべてを察した少女は、ザムザの後方から声を荒げ、弓を引いていた。
自分以外の初めての声に驚きつつも感激したザムザは、思わず泣きそうになりつつも声のする方へ振り向いた。
「はぁッ!?」
振り向いた先では、少女が必死の形相で弓を引いているので、ザムザの喜びは恐怖へ変貌し、驚きだけが残った。
「待て!待てって!!俺は敵じゃな…ぁああああ!?!?」
「早く逃げるニャ!!」
ザムザが岩だと思って腰掛けたものは、巨大なカエル様の生き物の目玉の部分であった。地鳴りを上げながら巨大な生き物が全容を現した。
あまりの揺れで手元が狂った少女の放った矢は大きく逸れ、隣の木に突き刺さった。